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気まぐれ日記::懐かしの町
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懐かしの町
幼少期から成人の年齢まで、多感な私が過ごした土地、そこは東京郊外のC市であります。

昨日 野暮用でそのC駅へと数年ぶりに行くと、そこはまた見事に変貌を遂げておりました。
まさか立派な地下の広い駅になっていたとは、知りませんでした。

駅前からバスで向かうT住宅までの一帯が、謂わば私の故郷です。
思春期の思い出が染み込んだ懐かしのC駅周辺は、9割方ガラリと変わってしまったものの、辛うじて残りの1割は数十年昔のまま。
小学生高学年より中学生まで、週に三日も通って好き放題に騒いでいた駅傍の学習塾は今は既に存在しませんが、そのビルは昔と変わりません。
あー、あの扉から二階に上がって行ったよなぁ…とバスの窓から覗く光景に、約40年近くも遥か遠い遠い昔の頃が鮮明な記憶として甦ります。
現在の賑やかなC駅とは様相の異なる、空の広い簡素で長閑な昭和の街を、少年の私は愛車の「アストロG」で駆け抜けていたものです。


この通り…人として、社会人として、陽の当たる真っ当な道からは外れてしまう薄幸な運命が自らの身に待っていようとは、夢多きあの頃には微塵も想像だにしませんでした。
大人になったら必ずやお金持ちになって、自宅のプールサイドでアグネス・ラムみたいなのを2~3人ハベラせて、気が向けばランボルギーニ・カウンタックで小旅行に行けるものとばかり思っておりましたが、結果はこの有様。大誤算のハズレくじ人生でした。

今にして思えば…、真面目に勉学に励みもせず教科書やノートに落書きをしたり鼻クソを食べたりしていた知能程度の乏しい少年の将来ですから、アグネス・ラムどころの騒ぎでないことは当然でありましょう。
スナックのおねえさんを店外に連れ出そうが、毎回野望虚しく指一本触れられずに食い逃げされるのが関の山です。
何がランボルギーニでしょうか。練馬生活で長年酷使の愛用自転車はもうタイヤは極限まで磨り減りギアもガタガタ、走ればキコキコ異音。昨日は遂にペダルが割れてしまいました。


斯くして自由奔放な美少年の成れの果ては、下世話な破廉恥漫画執筆に精魂を傾けるのが精一杯のヤサグレ者の末路です。

しかし今更その現実を憂いても恨んでも始まりません。


T住宅.jpg

私自身の何を語れども、一つとして誇れる要素もございませんが、私が幼稚園から小中学校時代を過ごしたこのC市T住宅は、実は歴史に残る隠れた名所であります。


ゴモラ.jpg

ウルトラマンで、ゴモラ登場の第26・27話「怪獣殿下」のオープニングシーンは、私の実家から先に見える一角であります。

ホ-3より.jpg
木に隠れた道の向こうが、オープニングの背景

劇中で怪獣マニア少年の住む町のロケ地が、このT住宅でした。
ゴモラの話は、ドラマ上では大阪が舞台で、大阪城を破壊するゴモラのシーンが有名なのですが、何故か関西弁を喋る出演者はなく、東京都下の住宅地で人々は逃げ惑います。

怪獣殿下.jpg


また、ウルトラセブンにもこの地は出てきます。

チブル星人.jpg

第9話「アンドロイド0指令」で、チブル星人のオモチャ爺さんが子供達相手に悪巧みを実行するのが、このT住宅内の公園。
小学生時代、私が頻繁に泥だらけになって遊んでいた場所です。

その公園で、板切れに小便を掛け、無敵の「小便棒」を振り回して勇者の気分で暴れていた、優雅な我が少年時代の幸福な日々が脳裏に浮かびます。


ここは当時ブームの子供向け変身ヒーローもの番組の他にも、刑事ドラマや青春ドラマでも時折背景に映されておりました。

高校生の時に、当時はまだ “大人への入り口” として立派な登龍門だったピンク映画を悪友と鼻息荒く鑑賞していたら、このT住宅が舞台に出てきました。毎日夕刻に流れ耳に馴染んだ「♪夕焼け小焼け」のチャイムまで使われ館内に流れた時には、途端に発情気分が萎えて興醒めしたものです。
未だ忘れもしません。その映画のタイトルは「団地妻絶頂(クライマックス)」。

12階.jpg



私自身のしがない裏街道人生では最早碌な話題も提供できませんので、今回は我が故郷C市のお話でありました。


次にご依頼賜った原稿で編集者から提示されたネタは、夏のエロ本恒例、浴衣の人妻。浴衣姿の奥さんが男の欲望に弄ばれ…、なんて内容の漫画制作にこれから臨みます。

決して人並み以上の贅沢などできないものの、これで平穏無事に衣食住を賄っていられるのですから、下手な感慨に耽らず、一心不乱に天職に従事すると致しましょう。
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