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気まぐれ日記::バードランドみたいな夜
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バードランドみたいな夜
小心者の私はできるだけ考えたくもないのですが、参加するバンドの演奏発表会の日が、刻一刻と近付いて来ております。

先日は千駄木のスタジオまで足を運び、4時間の猛特訓。
演奏曲目も固まり、後半はゲスト参加の女性ヴォーカリストを迎えてのジャズ曲稽古でした。

松井トリオ.jpg

向かって左より、ピアニストA氏,ドラマーM氏,そしてお茶目に首を傾げて見せる私。

練習後は軽くビールで喉を潤しピザを摘み、清く談笑して、遥か横浜までお帰りの女性を見送ったら、我々オヤジ組はその足で、出演するイベントの現場を下見にと、K町へ。

演奏現場.jpg

駅前のこんな恥ずかしい背景に設けられるとの特設会場にて、ブルース組で演奏を披露するそうです。
私は奥の目立たない所で極力人目につかない様に逃げ切る予定です。
紅一点のギタリストO嬢が華になってくれることでしょう。


…そこまでは、まだ宜しいのです。

問題は、ジャズ部門。

そっちも会場の下見と、小さなジャズ・バーへ。
奇しくもその日は「セッション・デー」。
そんな日に、のこのこベース背負って二人に付き合って乗り込まされた私が、間抜けでした。

窓脇の演奏場所にはグランドピアノにドラムセット。
ウッドベースを手慣らしに奏でる若い兄ちゃん。

ピアノが旋律を奏で始め、ドラムが4ビートを刻みギターとベースが加わるや、そこは緊張感溢れる生演奏のジャズクラブ!

以前より噂には見聞を得てはおりましたが、それこそ正に、世のジャズマン諸氏が、腕を競い切磋琢磨する修行の場なのです。

ひと口アルコールで喉を湿らせては、持参の高価そうなギターをおもむろにケースから取り出し、セッションに参加するジャズ・ギタリスト達。
実に気持ち良さそうに、担当の楽器を奏でる凄腕プレイヤー諸氏。
白熱する演奏。
先程までの我々の(いや、私の)拙い演奏など、赤子の戯事に思えてきて、もう唖然,呆然。

そんな所に、原稿に朝まで取り組み、前夜から不眠状態の一介のエロ漫画家が足を踏み入れて、一体何がどうなると言うのでありましょう…。
バーボンソーダをガブ呑みしては、“練習が終わったらとっとと帰れば良かった…” と後悔の念に苛まれても、後の祭りであります。

小休止中、リーダー格の年配のギタリスト氏に近寄って来られ、
「それ、電気ベースですか?」
と、私の楽器ケースを指差されて因縁をつけられ、危うくセッション参加を促されそうになりました。

「いえいえ…今日はただ練習帰りに見学に寄っただけで…その…、だいぶ酔っちゃったし…えへへっ」
と私は顔面蒼白の涙目で、醜さ露わに逃げ口上を並べ立てたのですが、

「みんなだって酔ってるのよ」と、真綿で首を絞めるかの脅しを無遠慮に仕掛けてくる店の女将さん。

“うるせえババァ!俺はジャズなんかできねえんだよッ!!”

と胸中で悲痛な叫び声を上げつつも
「いえもう…アッシゃただの酔いどれ客でやして…へぇ。今日は一杯呑みに寄っただけで、もう退散しやすから…へぇ」

なんて我ながらみっともなさこの上なく、半ベソ掻きそうになって小さくなるばかり。

そんなハイレベルの演奏を目の当たりにして、図々しく自らの安物エレキベースを取り出すや、完璧にジャズをマスターした若いウッドベース奏者の後陣を務めようなどという、無謀な神経は私には毛頭ございません。
しっかりとした技術レベルに達した者のみぞ許される場なのです。
原チャリでもコケまくるヘッポコライダーに、「さぁこっち来て、一緒に並んでハーレー運転せいや」ってな無茶なお誘いには応えられる筈もありません。命は大切にしなければなりません。

どんなに醜かろうが、“アイツ楽器持って来て、何でセッションしないの?” と周りから訝しがられようが失笑されようが、ステージ上で赤っ恥を掻くよりマシです。
自慢ではございませんが、私のベースはどこに出しても恥ずかしくない程の、恥ずかしい腕前なのです。

そうと知って私を連れて来たM氏及びA氏を、ただただ恨むばかりです。
しかしそんな彼等は、私の様に性根の腐った小動物とは神経の作りが違う様で、凄腕プレイヤーの後に、果敢にも積極的に演奏に参加!

私より幾つも年下の彼等ですが、物怖じせずに素直に、緊張しつつも決して引けを取らずに大らかに演奏を楽しむ勇姿を店の端から見て、私はこう感じるしかありませんでした。
“これからは、兄貴と呼ばせてもらうぜ…” と。


情けなくも「蛇に睨まれた蛙」状態で畏縮し固まってしまった私は、その何ともいたたまれぬ居心地の悪さを噛み締めつつ、さながらデジャヴュの如き感覚に捉われるや、ふと…過去のある苦々しい経験を思い起こしました。

そうだ…、この惨めな存在感、まさに「乱交パーティー」だ…と。

もう何年も前になりますが、私は体験取材を基に漫画を描くという月刊連載を受けておりまして、当時多種多様の風俗店取材に命懸けで身を投じておりました。

そんな取材の一環で、山手線T駅近くの怪しげなマンションの広い一室にて、当時定期的に行われていた淫らなパーティーに、担当編集者の段取りで参加したことがありました。
専門的な名称ですと「大人のパーティー」の上級者向け「乱交版」です。

まずは各自シャワーで身を清め、男性はガウン姿,ご婦人方は破廉恥なる下着姿に。
男女合計約10名が揃い、お日柄も宜しくパーティー開催。
軽い酒席での、些か不自然ながらも高度な社交性を必要とする談笑から、その場で気の合ったパートナーと睦まじく、床一面に布団の敷き詰められた隣室へ。

乱交現場.jpg

これがその現場です。
奥の “小道具” も用意周到でしょう?

次々と同室内で営まれる淫らな行為。
我が目前で、2人が3人、4人、5人!と絡まり行く様相に、圧倒されるのみです。

「お前もやれるものならやってごらん!」
とばかりに、他人…それも同性の目前で分身を立派に起立させ、裸体のご婦人相手に堂々と営みに溺れる数名の諸氏を目前に、初参戦の私はと言えば、余りの衝撃に意識朦朧に陥り畏縮するばかり。
性的興奮を覚える…なんてものではありません。
私の下腹部は配線不良を起こし、使用不可です。

「どうです?ご一緒に…」
と、挑発的なランジェリーに身を包んだご婦人の肩を抱きつつ常連氏から寝室同行を促されるも、

「いえいえ…今日はただ取材に寄っただけで…その…、だいぶ酔っちゃったし…えへへっ」
と、確かにあの時も、今のジャズ・セッションと全く同様に涙目で逃げていたっけ…と、不甲斐ない己の姿がまざまざと脳裏に甦りました。

また「カップル喫茶」なる名称の遊戯店取材時でも、お恥ずかしながら同じく、性の営みを謳歌する男女を目前に、ただただ固まるばかりの私でありました。


下半身遊興の場とは全く系統の違う筈のこのジャズ・バーに於て、私があの時と同じ匂いを感じてしまったのも、少しはご賛同を頂けますでしょうか。

ジャズ・セッションと乱交パーティーを並べてはいけないかもしれませんが、あくまでも私の感想では共に同様、「やれるものならやってごらん」の、熟練した技と度胸で優越感に浸れるある種の特権意識に、嫉妬の念を抱き感服し平伏しつつも、“俺もいつの日か必ずや…” と羨望を抱く、尻のこそばゆい感覚を、共通に感じたのでありました。

悔しいから努力して腕を磨いて勉強に明け暮れて…今度は自分が羨望の眼差しを向けられる立場に至って得られる優越感は、ひと際でありましょう。

「俺も最初は、何もできなくて悔しくてさ…、今にここで思い切り楽しんでやろうと、躍起になって通い詰めたさ」
そんな自らの苦い経験を語りつつ、ソファーで白いガウンの隙から大胆に金玉袋を覗かせていた、乱交パーティー取材時の常連男性の姿が思い起こされます。

乱交パーティーもカップル喫茶も、そうは申しても私にはとても敵うものではないと早々に結論付け、ほんの一回こっきりの社会科見学でありましたが…。
無論ジャズ・セッションなど、私如きには到底敷居の高過ぎる異次元の領域。乱交云々以上に、同様の感を抱いたのは申すまでもありません。

近々…あの猛者揃いのジャズ・バーにて “ジャズの真似事演奏” 披露とは、針の筵そのものです。
先輩作家か何か知りませんが、何処ぞの碌でもないエロオヤジがホテルで交尾最中の妖怪女にウ○コ漏らされた…なんて騒いで喜んでいる場合ではありませんでした。

『影武者ジャズ・ベーシスト募集』は継続致しております。
報酬20万まで、何とか捻出しましょう。
それでも足りなければご希望額を仰って下さい。



しかしながらそんなヘタレ者の私とて、これでも一応漫画の道ではプロです。
もし『マンガ乱交セッション』なるものが存在して、客席に向けて次々に、与えられた課題のエロポーズを描けだの、難解なバックを描けだの…なんて催しがあれば、私だって本領を発揮させましょう。

「次は夕景の海岸で大型バイクに跨る女性とのエッチシーン!
ハイ、こっち来て描いてみますか?そこのおじさん!」
なんて声を掛けられりゃあ…、

「いえいえ…今日はただ散歩に寄っただけで…その…、だいぶ酔っちゃったし…えへへっ」

なんて半泣き顔で逃げ出すに違いありません、やっぱり私は…。
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